エステルが...(涙
若い主要人物が田中先生の魔の手にかかってしまいました。ストーリー上は侵略者としてではないルシタニア人を代表するキャラクターでした。そのポジションはドン・リカルドことパラフーダ(白鬼)が引き継ぐことになりますが、元気っ娘が消えるのは悲しいですね。
物語冒頭で銀仮面と魔導の霧という、強烈な二つの助力を得て登場した悪役国家ルシタニアは、昨今は何度も暗黒時代と表現されており、ギスカールもミスルにいるため、もうエステルとドン・リカルド以外では語られることはなくなりました。その一人が退場してしまったのです。
12巻ラストでエステルが怪我をして、命があるだけ幸運だと医者に言われたときでさえ、死ぬとまでは想像していませんでした。銀英伝のワーレンとは時代が違うので義足は無理としても、杖でもついてひっそりと暮らすぐらいの結末はあるだろう、と思っていたのですが。
何巻だったか、エステルはアルスラーンにとって初めての「顔のあるルシタニア人」だったとかいう表現があったように思います(銀英伝かも?)。知り合いでもいなければ、人は相手をグループの一員としてしか認識できないのです。
「もう少し月日がたてば、お前は一人前の異教徒になって、角や尻尾がはえてくるのだろうな。でも、どんな姿になっても、わたしはお前の正体を見破ってやるぞ」
7巻ラスト、ヒルメスが宝剣ルクナバードを携えたアルスラーンと対決して退けられ、アンドラゴラスとイノケンティスが墜落死し、さらに蛇の姿の尊師が討ち果たされた慌ただしいあのラストの後、エステルがパルスを離れる際にアルスラーンに告げた言葉です。しかし姿が変わったのはアルスラーンではありませんでした。
意識せず感情移入していたと気付かされました。小説の登場人物の死に虚脱感を覚えたのは久しぶりです。
さて、ギスカールはミスルで内政に勤しんでいるのか描写なし。ヒルメスからもナルサスからも、しばらく動かないだろうと太鼓判を押されています。
ヒルメスはマルヤムでナバタイからの侵攻に対応を開始。ナバタイに誰か頭の回る人がいそうな雰囲気ですが、まだアカシャには到着しておらず、具体的な描写はこれから。ヒルメス陣営に加わることになる相手のような感じがします。
なお、かつて黄金仮面ヒルメスだったシャガードが最後の活躍をしました。その際、典型的な死亡フラグが見れるので請うご期待!
魔将軍イルテリシュはますます絶好調。ガズダハムはすっかり中間管理職になってしまいました。チュルクから生身の人間ジャライルが加わり、副題に繋がります。
余談ですが、私の中では何人かのキャラに妙なイメージを持っています。ドジっ娘アイーシャはそばかす似合いそうというのは普通だと思うのですが。
ギスカール...「ロードス島戦記」のバグナード(存在感のある悪役顔)
イルテリシュ...「ドラゴンクエスト・アベル伝説」のルドルフ将軍(人外すぎる...)
エステル...「プリンセスクラウン」の女王グラドリエル(牢屋の食欲魔神っぷり?)
クバード...「北斗の拳」の山のフドウ(太くない挿絵なのになぜ)
イノケンティス...「ドラゴンハーフ」のシヴァ国王(丸いイメージは多いはず)
パラフーダ...「小鉄の大冒険」の風祭蘭白(そこまで巨体じゃなかろうに)
想像するのも小説の楽しさですね。
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