夜の声

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だって幽霊船ですよ?

W.H.ホジスン「夜の声」を読みました。19世紀~20世紀をまたぐ頃合の海洋ホラーで、サルガッソーネタの短編が山盛り。幽霊船、巨大海洋生物、全く未知の生物、海底の隆起...。

もちろん表題作、映画「マタンゴ」の原案とされる作品を目当てに購入しまして、これも良かったですが、船の作品はもっと好きです(「夜の声」はどちらかというと無人島ネタ)。

良いですね船の作品は。ポー「アーサー・ゴードン・ピム」も好きですが、古めの作品に登場する「海」という舞台は、当時の好奇心とスリルをめいっぱいに表現していて大好きです。

今でも海の生物のことはよくわかっていないのに、なまじ地球の形がわかっているものだから、たとえ同じように船で乗り出しても、文学作品として色あせた感じがして残念です。深海がまだ現役ですが、ネタとして偏りがあるような。

さて、私の場合は名前としては「バミューダ三角海域」の方が脳が反応しますが、サルガッソーはここに含まれるようです。実はハミルトン「キャプテン・フューチャー」で「宇宙のサルガッソー」として知った方が印象が強かったりします。

海底隆起は未知の島ネタですので、ラヴクラフト「ダゴン」も同系統になるでしょう。他でもないこのホジスンがコズミック・ホラーの祖となるそうです。

他、「幽霊狩人カーナッキ」という、当時の探偵もの(ホームズの時代!)として数少ない個性派だったらしいシリーズの先鞭となる作品も。興味を持ったので入手しようとしたところ、新品ではほぼ入手不能でした。

最近の本は買い逃すと手に入らないようで。古書を当たると旧刊は比較的よく出てきますが、新しいものほど少なくともネット上に出てきません。在庫管理がおざなりな某全国チェーンが原因の一つかとも思いますが。

その全国チェーンも含めて、やはり足繁く古書店に通わなければならないということでしょう。SFやホラーの再版はマイノリティなのでしょうね。「たんぽぽ娘」あたりはテレビドラマで扱われたこともあって話題になったようですが。

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