グスコーブドリの伝記

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劇場でも見たのですが、買ってあったBDを最近また見まして、感想を徒然と書いてみます。

まず声が小栗旬というのが...。明らかに青年の声ですが冒頭のシーンは少年ですから違和感が。イーハトーブに行く辺りからは大丈夫ですが、声優2人の方が良かったように思います。他の俳優女優は許容範囲だったかと。

てぐす工場のエピソードは原作通り火山の噴火にすべきだったと思います。最後に火山を逆用しているので、メッセージが伝わりにくくなると考えたのかもしれませんが、そこまで鋭くしなくても良かったのではないかと思います。

それ以外は割と好きな作品と言えますが、何やら原作を知らない人の頓珍漢な批判が散見されるようで(田んぼに石油は非常識、とか)、そういう無知で不当な評価が目に入ってしまうのも、ネットの悪いところでしょうか。

原作ではネリと再会していますが、本作は別れたままです。ブドリが賢治の投影なのは明らかですから、妹トシに合わせたのでしょう。両親の遺体が見つかって墓がある、とか原作は色々決着が付いていますが、本作は飢饉で失ったものを強調しています。

夢のシーンは本作オリジナル(ますむらひろし版は未読)ですが、「銀河鉄道の夜」のキャラが出演しています。凌雲閣風の塔でエレベーターに家庭教師ら4人がいたのは切なかったです。死後の世界ってだけでも切ないのに、そのまた後の時間軸というのは。

イーハトーブにパン屋の主人や無線技士がいました。というかクーボー博士は無線技士の体型違いですし、ペンネンナーム技師は活版所の人(所長かな)によく似ていますね。

賢治は短命な人でしたが、その晩年になる「グスコーブドリの伝記」はまとまりの良い作品とは言い難い部分があります。カルボナード島の章はひたすら続く台詞、そして最終段落の言葉の速さ。それまでと作風があまりにも違うように思うのです。

飢饉を扱うテーマですから、賢治の人生を鑑みると非常に強い思い入れがあったろうと容易に想像されます。その思い入れの強さが空回りしてしまった感もありますが、原作の個性でもあるでしょう。

さて意外だったのは、本作に合わせて「銀河鉄道の夜」BD版が出る予想が外れたことです。BS11とNHKプレミアムで立て続けに放送されましたので録画しましたが、BDで欲しいですね。今からでも!

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