はやぶさ

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あの熱狂から早3年、当時渋谷で見ようと思って満席で見逃した「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」全天周番組を、相模原市立博物館のプラネタリウムで見てきました。

博物館の隣にJAXAや宇宙科学研究所がある...。改札口を出ると「はやぶさの故郷」とある淵野辺駅から徒歩20分。

とっくにブームなんか沈静化していますが、それでも4/20というとても寒い雨の日に、子連れを中心に数十人が入っていました。すごいと断言します。平時の天文関係は閑散としているのが常ですから。

プラネタリウムで星座以外の作品を見た経験は、実は今までほとんどありません。昔の投影装置は中身の融通が利かず、日周運動と星座イラストが関の山でしたが、技術革新が起こった頃には遠ざかっておりました。

「はやぶさ」を「彼」と呼んだり、呼びかけるようなナレーションが頻繁に入ったり、正直、最初はあざといと思ったのですが、結局1時間があっという間でした。涙まで。

スイングバイの説明を初めてまともに聞きました。ある範囲の位置をある範囲の速度で通過しなければならない、というものですが、ゲーム「NiGHTS」を連想しました。あれも速度が合わないと、うまく連続してくぐれませんでしたっけ。

また宇宙の距離感を伝えるための配慮が感じられました。星座レベルの恒星だけなら距離の説明なんか、しても「~光年」という数字だけですが、地球どころか太陽さえちっぽけに見える映像を挟むことで、どれほどの長旅かを伝えています。

太陽系の惑星ぐらい誰でも全部言えますが、それぞれで太陽がどれぐらいに見えているか、というスケールの話は全く知りません。ケプラーは月から見た地球を想像だけで正確に描いて見せたのに、爪の垢を煎じて飲みたいぐらいです。

構成はドキュメンタリーではありませんでした。細かい資料映像を映す際に説明不足な感じもしましたが(特に最後の地球の映像)、でも、あそこは流して、わかる人だけわかればいい、というスタンスで良かったように思います。

あそこに説明を入れなかったことが、この番組の立ち位置を示しているのでしょう。JAXAは宇宙飛行士に科学の語り部という役割を与えています。感動を伝える、きっとこの作品もそうなのです。

さて日本には付喪神という概念がありまして、まあ「はやぶさ」は享年7歳かそこらですが、多少の自律機能があるとはいえ基本的に機械ですから、人が指示せんと動かないわけですよ。

故障だの、接地失敗だの、通信途絶×2だの、世話のかかる奴だったでしょうね。何十人もの科学者技術者が総出で、やきもきしながら何年間も。

その「想い」は、関係者はもちろん、傍観者までもが感情移入をしてしまって何も不自然ではないと思います。

そうしたある種の擬人化をして捉えようが捉えまいが、最後に残ったものがカプセル一つだけで、手を伸ばせば届きそうな地球上空で本体は燃え尽きてしまう。長旅をして戻った地球で、カプセルを届けるために。

万事順調だったらカプセルだけ落下させて本体はもうひとっ飛びする予定だったとか聞きましたが、日本人の美意識にストレートな結末となりました。

BD版を買おうかな、と。

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