フリーター、家を買う

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見ていて過去を思い出させる辛い作品でしたが、何らかの歪みを抱えている人しかいないドラマです。

土木作業員ヒロインはまだ不明ですが、家族4人全員、隣人女性、姉の姑、少なくとも6人はメンタルが歪んでいます。

ポイントは母親だと見ました。常識的には、献身的な故にノイローゼになった被害者と受け取られたと思いますが、あれは過干渉です。これも子どもの人格を無視する行為であって、家庭を顧みない父親と同レベルに害悪なのです。

主人公は自我が希薄です。それ故に必死に自己中心的になって脆弱な自己を護るのです。あれはプライドなんてものではありません。プライドとは裏付けある客観的で高い自己評価です。何事にも真剣にならず「そこそこ」の人生だったのは、一歩引かなければ耐えられなかったからに他なりません。

父親は、団塊世代の典型的な悪い例です。傲慢、頭ごなしの説教、それによる全力での人格否定。竹中直人の演技が光ります。

姉、本人はまだ充分に描かれていませんが、わが子に接する態度は、その父親に酷似しています。結果だけを求めるダメ親です。

これらは、本人にのみ責任を帰せるものではありません。社会が再生産をさせ続けてきた、規模の大きな病理です。しかし社会は簡単には変わりませんので、個々人が自分を癒さなければなりません。認識され対応法が確立しさえすれば、それも大した問題ではないのですが、「いきなりキレる若者」などと思われている間は何も進歩ありません。

広告には「家族、やりなおし」と書かれていました。全員の病巣とその回復を描ききるなら、素晴らしい作品になるだろうと思います。もし万一、主人公と父親だけが悪いとするなら、偏見を助長する唾棄すべき駄作です。社会派作品は伝える側の姿勢も問われます。

ところで、日常生活に悪影響が出るレベルで入院させずに帰すでしょうか?病院の対応は疑問がありました。

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