ゾンビ

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zombie.jpg中学1年の時、スキー合宿に向かうバスの中で見たのがこれで、ホラー映画初体験でした...。

当時の友人が持ってきたのですが、流すのを許可した先生も理解ありすぎでしょう。その日一日吐き気がしたのも思い出の彼方、今ではスパイダードッグを見ながらスパゲティを食べられます。

しかし語り継がれる作品の一つでホラーに入門したことは幸いだったかもしれません。これが救いようのない単なるスプラッタだったら、きっとジャンルそのものを嫌いになっていたでしょう。

噴水の中の小銭をつかみ取るゾンビ。バーゲンの館内放送で売り場に向かうゾンビたち。やはり消費活動は人間風刺の槍玉としては定番どころです。もう死んでいるのになお煩悩に動かされる姿は、皮肉が強すぎるぐらいのシーンです。
そして、鍵をかけその中のゾンビを駆逐した安全なショッピングセンター中で、気ままなひとときを過ごす主人公たちも、消費の虜になっているわけですね。

ヒロインはフランですが、一人しかいない女性というだけでなく、あんな世界で子どもを身ごもっているのは希望の象徴でしょうか。欲にくらんで自滅する弱さを表したスティーブン、この世に絶望して自殺すると見せ一転、最後まで戦い続けたピーター、二人のヒーローはそれぞれに人間を表現しています。調子に乗って早々にやられてしまうロジャーは最も人間の脆さを表しているでしょうか。

一方で、仮のオアシスを破壊するヒャッハー野盗の面々、人体の5%をゾンビに食わせろとのたまう傲慢な科学者、共にゾンビが生まれてしまうような救いのない世界を表しているようです。

早くからファンタジーのゲームに接していると、ゾンビはあくまでモンスターであり人間とは違うという感覚を持ちますが、そうでない人から見ると人肉を貪る死体たちは共食いに見えるでしょう。つまり食人、カニバリズムです。慣れとは恐ろしいもので、劇中の政府放送を聞くまで気付きませんでした。
さらに最低でも死体の首を切り落とすことが求められる世界観は、死者への敬意という大抵の宗教が持っているタブーにも挑戦してしまっています。当時は恐ろしいほどセンセーショナルだったことでしょう。

リメイクではゾンビが走るらしいですが、それは逆にメリハリがないように思います。死体は魂がないのですから、魂が抜けたような動きであるべきです。

この先、便乗派生作品を追いかけるのも楽しそうですが、「人間解剖島ドクター・ブッチャー」とか今時のレンタル店には置かれていない作品も多いようで、買うとなると高いので思案のしどころです。とりあえずロメロのシリーズから始めましょうか。

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