這い寄る混沌

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最近の漫画では、岡田芽武「ニライカナイ」にラスボスとしても登場した、邪神一のトリックスター、這い寄る混沌ことニャルラトテップ。
ネフレン・カをそそのかし「暗黒のファラオ」と呼ばれる原因を作ったり、ランドルフ・カーターのカダス行きに際して随分と懇意にしたりと、宇宙規模の荒ぶる神々の中で人間を対話相手(または遊び道具)とみなす変わり者。

であればこそ人間世界にアレンジし甲斐があるわけですが、遂にラノベの餌食になってしまいました。それが逢空万太「這いよれ!ニャル子さん」です。
圧倒的パワーを持ちながら妙に弱点があり、性格が外道でおまけにショタコンという、非常に倒錯的な女の子になってしまいました。
冒涜的とか名状しがたいとか、お決まりの枕詞が付く様々なおバカなアイテムも登場します。目覚まし時計も胸キュンです。

某巨大掲示板風の言い回しが若干鼻に付きますが、既存のクトゥルー作品群のモチーフをかなり広く吸収しており、乱読しただけの私などでは及びも付かない次元です。表現にはパロディが小出しにされ、是非はともかく知っている人はそれだけで楽しめますが、舞台作りもSF的な独自解釈を行なったものになっているので、こちらも新しい刺激を与えてくれるでしょう。

評価は二極分化していると二巻の巻末で筆者が書いていますが、さもありなん。しかしながら間違いなく理解してやっている方なので、恐怖感はともかくスケールは派生作品では負けていません。むしろ某エログロトンデモ拳法ものとかを読むぐらいなら、こちらの方が原作群の持ち味を活かしているような。

年の功があるのでパロは気付いた方だと思いますが、「不埒なお前のその命が~」とか、ながい閣下のロード時代が出てくるとは思いませんでした。救い難い功夫をお持ちのようで(褒め言葉)、筆者には今後とも幅広い感受性を保ち、ダメ人間の王道を突っ走っていただきたいと応援する次第です。

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