兄が急死してしまいました。妻と子供が残されてしまいました。
正直、実感が湧きません。対面して涙が出た程度の情緒は持ち合わせていましたが。
私が二十歳になったぐらいから別居していました。あれが独り立ちだったのかどうか、よくわかりません。親とはある程度の連絡を取っていたようですが、私には遠い人になっていました。
棺に子供らの手で収められた副葬品の中に、私もかなり好きな比較的最近の漫画が1冊含まれていました。それが成人してから、或は今までで一番結びつきを感じた瞬間だったでしょうか。
私の中で薄らいでいた兄弟というものは、そのまま消えてしまいました。